『かってに改蔵』最終話感想

(以下ネタばれ注意)
昔学生の頃同時期に吉田戦車の『伝染るんです』とR・D・レインの『好き?好き?大好き?』を読んで両者に親近性を感じて一人興奮した覚えがあるのだが、(人にも言ってみたのだが相手にされなかった(笑))精神病者の思考構造とある種のギャグマンガの登場人物のそれとは妙に似通ったものがあることは確かであると思う。しかしほとんどの人は両者を同じ感覚で見ることはない。笑いを感じるか、それとも悲しみや哀れみや恐怖の入り混じった複雑な感情を生じさせるか。(稀に精神障害者を平気で笑いものにする輩もいるのだがこいつらは最低である)それは現実と非現実の違いに原因がある。非現実であるという前提があればこそ我々はギャグマンガを笑いの対象と見做すことに躊躇しない。しかし現実であるか否かという要素を取っ払えばその客観的な様相はギャグマンガの登場人物の行動も精神病者の行動も変わらないのである。久米田康治はこれを敢えて示した。なんのためにそうしたのかはいまいち判然としないのだが、思うにこれはギャグに対する笑いと精神病者という社会的弱者に対する蔑みの同質性をあからさまに示すという彼一流の我々一般読者に対する皮肉なのではないだろうか?少なくとも以前ネタにした夢オチと同じようなラストにした理由をわしは知りたい。
つーかよ、最後まで実は打ち切り話は嘘でしたっつー感じのオチを期待してたんだけどな。これでサンデーで読む漫画がなくなってしまった。