『高速回線は光うさぎの夢を見るか?』(華倫変 太田出版)

高速回線は光うさぎの夢を見るか? (F×COMICS)
短編集なのだが、全編女がどこか壊れている。例えば「あぜ道」「下校中」「木々」の連作では、主人公の女は三つの人格を有する多重人格障害の高校生、そしてこの物語の語り部たるクラスメイトの男は戸惑いつつも女の三つの人格それぞれと通常(?*1)の関係を取り結んでいる。そして女に新たな人格が出現してそれが他の人格に対して優位化し、他の人格が徐々に消えていってしまう。そんな女の「治癒」過程に接して、男は「治癒」にとっては邪魔者に過ぎない他の人格に対して、「行かないで」「消えないでよ」と涙を流して叫ぶ。
つーかこの作者って28の若さで亡くなってるんだねえ、心不全で。惜しいなあ、こういう漫画描ける人ってなかなかいないのに。

*1:人格の一つが淫乱で、男がそばにいるときにその人格が出現するとセックスするわけなんだな